小さな意識

唐突ですが、皆さんは何のためにオーケストラに乗っていますか。

自分の演奏技術を向上させるため、練習に来て友達と話すため、ソロや少人数でするアンサンブルにはない、大人数で多種にわたる楽器の音色を重なり合わせた時にしかできない音楽を作りたいから、シンプルにオケが好きだから、など様々な回答の仕方があると思います。当然この質問の正解は一つに定まるものではなく、皆さんが答えだと思うものが答えです。

自分は、本番当日聴きに来て下さった方々が、自分たちの演奏に鳥肌立つくらい感動し、聴きに来て良かった、明日からまた頑張る活力、勇気を貰えた、と心の底から思っていただける演奏がしたくて、オーケストラに乗っています。僕のこの気持ちのルーツは、大学1年生の時に聴きに行った東京のジュニアオケの演奏会にあります。友達が乗っており誘われて行ったこの演奏会は、僕が人生で初めて聴きに行った演奏会でした。中学高校と運動部でオケどころかクラシック音楽とほぼ無縁の生活を送っていたため、当時の僕は、正直オーケストラの魅力を殆ど理解していませんでした。曲目はスラヴ行進曲、ベト2、そして大学祝典序曲でした。スラヴもベト2も素晴らしい演奏だったのですが、この時に聴いた大学祝典序曲は一生忘れません。聴き終わった後、言語化し難い、なんとも言えない感情で包まれたことを今でも鮮明に覚えています。ただ単に感銘を受けたなどという言葉では片付けられない感情がそこにはあって、それと同時に自分も舞台の上に立ち、演者の一人として、今日自分が感じたこの気持ちを、一人でも多くに人に感じて欲しい、感じてもらうためにオーケストラに乗ろうと強く思いました。そんなこんなで大学祝典序曲は自分にとって大好きで大切な曲です(多分僕がブラームス好きなのもこの体験がかなり影響しているのかなと思います笑)。亥鼻ではトップサイド、3月に乗る外部のオケではトップをやらせていただくことになっていて一段とモチベが上がっています。

ここまで、僕がオーケストラに乗っている理由や大祝への思い入れについて長々語ってきましたが、次に自分が普段の練習で大切にしていること、意識していることを伝えさせてください。オーケストラの魅力はたくさんあると思いますが、やはり最大の魅力は、一人では作ることができず、様々な楽器を用い、大人数でしか奏でることができない壮大な音楽を、それを作曲した作曲家やその時代背景に思いを馳せつつ、一から自分たちなりの音楽を指揮者やコンマス、各パートのトップが中心となりながら、演者全員で作り上げていくことだと僕は考えています。だからこそ、自分一人で音楽を作っているのではないということをもっと強く意識する必要があるし、目の前にある自分のパートの譜面を弾けるだけで満足するのは勿体なく、演奏中は自分の横の人の音も、横に座っている他パートの楽器の音も、後ろから聞こえてくる管打楽器の音も、もっと聴こうとしなければと強く思います。そして当然その為には普段からスコアを見る習慣をつけ、この部分はどこのパートがメロディーで、自分のパートはどういう役割なのかを把握→どういう風に弾くのが最適か考える→そのイメージに合致するまで練習する、というサイクルを曲の最初から最後まで事前に行っておくことが不可欠です。また今回の定演の曲は3曲とも全体的に明るい曲調であり、先日の柳澤先生セク練で先生が仰っていた「楽しそうに演奏するべきだ」という言葉もオーケストラの魅力を噛み締める上で非常に重要なことであると思います。本番はマスクを外すためお互いの表情が分かるし、普段の練習でも、指揮者含め周りの人とアイコンタクトを取り、呼吸を合わせて、自分たちの音楽を作り上げていく楽しさをお互いが共有できるように取り組んでいければ最高だし、自ずと演奏のクオリティも今以上のものになるでしょう。理想論だと思われるかもしれませんが、でもこれはできるできないの話ではなく、やるやらない、やろうとする意識があるかどうか、という話を言っています。一つ一つ、小さなことからで良いので、意識、考え方を(自分含め)変えていきましょう。

本番まで残り一ヶ月と少しとなりましたが、努力が足りなくて演奏会後に後悔するといったことが絶対にないように、そして本番は最後の一音まで大事に、丁寧に、楽しく、笑顔で終われるように、本番の状況をもっとイメージして、考えることを怠らず、入念な準備を積んでいきたいです。

20M Vc パートリーダー 会計 梅津和明

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